予知保全と機械監視を支えるモバイルルーター

概要

✔ 本事例の「Regnus Engineering Solutions」社（以下「Regnus」社）は、堅牢な予知保全製品・サービス・ソリューションを提供するトルコ企業。機械設備の健全性や重要度をリアルタイムで可視化しています。

✔ 同社のIoTゲートウェイに安全かつ安定した接続を提供するため、製造施設のネットワークとは切り離されたモバイルルーターが必要でした。クライアントの製造施設のネットワークと分離することで、セキュリティリスクを軽減できるためです。

✔ 採用されたのは、テルトニカの4Gルーター「RUT241」。LTE Cat 4接続でソリューションを実現します。RJ45イーサネットポートを2つ搭載しており、WANフェイルオーバーによる自動バックアップ切替、幅広いVPN・産業用通信プロトコルに対応しています。

課題 ― 安全で確実な「予測」の実現

インダストリー4.0の時代において、予知保全は欠かせない存在となっています。センサーとリアルタイムデータ解析を用いて機器の状態を常時監視し、故障や停止が起こる前にメンテナンスの必要性を察知できるからです。

2023年、世界の予知保全市場規模は57億米ドルに達し、2032年までに493億4,000万米ドルを超えると予測されています。年平均成長率は27.1%と非常に高く、世界的に注目される分野です。

その中で「Regnus」社は予知保全ツールを提供しており、電動モーター、ポンプ、ファン、ギアボックスなどにセンサーを設置し、重要度や健全性を継続的に監視するサービスを提供してます。センサーから収集されたデータはクラウドサーバーに送信され、解析を経て「予測」に活用されます。

しかし、問題もありました。

「Regnus」社がセンサーからデータ収集するために展開しているIoTゲートウェイは、Wi-Fi機能を備えているものの、モバイル通信機能はありません。無線通信がセキュリティリスクになる懸念があったため、同社のクライアント企業は、製造施設のネットワークにゲートウェイを接続することに難色を示していたのです。

そこで必要となったのが、独立した接続手段を提供するモバイルルーターでした。

トポロジー

ソリューション ― 信頼性の高いセルラールーター

「Regnus」社がこのIoTソリューション用に選んだのは、テルトニカの産業用LTEルーター「RUT241」です。

「RUT241」はRJ45イーサネットポート（LANポート）を2つ搭載しており、そのうち1つでIoTゲートウェイに接続します。その先に振動・温度などの指標を監視する複数のセンサーに接続し、クライアントのニーズに応じて構成されます。

モバイルルーター接続が加わることにより、ゲートウェイは収集したデータを、自身のWi-Fi機能を用いてリアルタイムでクラウドサーバーに送信できるようになります。場合によってはModbus TCPを利用し、SCADAシステムへ転送することも可能です。

「RUT241」が提供する接続はLTE Cat 4で、3G・2Gとの後方互換性も確保できます。これにより、予知保全ソリューションに必要なスループットを十分に満たすだけでなく、4GLTEが弱いエリアでも柔軟に展開できます。

このソリューションに不可欠なのはネットワーク接続の信頼性です。このLTEルーター「RUT241」は WANフェイルオーバー機能を搭載。メイン回線に障害が発生した場合でも自動的にバックアップ回線へ切り替わります。これにより中断のなきネットワーク接続が維持され、ゲートウェイはリアルタイムで継続的にデータを送信できます。

セキュリティ面でも安心です。LTEルーター「RUT241」はZeroTier、WireGuard、Tinc、IPsecなど多彩なVPNプロトコルに対応し、安全なデータ通信を実現します。