自律型ロボットが切り拓く、次世代の農業

概要

✔ 本事例に登場する「Augean Robotics（オージーン・ロボティクス）」社は、AI搭載ロボットによって、農業分野が直面する深刻な人手不足の課題に取り組むロボティクスの専門企業です。

✔ 同社が開発した自律走行ロボット「Burro（ブロ）」は、カスタマイズが可能な移動式農業用ロボットで、高性能なソフトウェアと、テルトニカのLTEルーター「RUT241」による安定した通信によって、農作業の効率化を実現します。

✔ 「RUT241」は、「Burro」の内部・外部機器と、「Augean Robotics」のクラウドプラットフォームとの間で、安定したLTE Cat 4通信を確保する重要な役割を果たしています。

課題 ― 高騰する人件費と深刻な人手不足

ブドウをひと房出荷すると、その売上のうち半分以上が人件費として消えている ― そんな現実をご存じでしょうか？この人件費の割合は年々上昇傾向にあり、ベリーや苗木など他の作物も例外ではありません。人件費の高騰と労働力不足は、今や農家にとって最大の課題となっています。

こうした中で注目されているのが「自動化」です。ロボットには給料が必要ないため、作業を置き換えることができれば、コストを大幅に削減できる可能性があります。しかし、農作業というのは決して単純なルーティンワークではありません。収穫、摘み取り、農薬散布、作物の状態を確認するための巡回、異常事態への対応 ―（たとえば、作物を荒らす害獣の群れにどう対処するか）など、様々な状況に対する判断が求められるのです。単純なロボットには荷が重い仕事ですが、高機能なロボットを導入することで、対応が可能になるかもしれません。

そんな高度な作業をこなすため、「Augean Robotics」社は「Burro（スペイン語で“ロバ”）」というロボットを開発しました。汎用性と順応性に優れたAIを搭載し、多彩な農作業を自律的にこなせる次世代の労働力として、期待されています。ただし「Burro」が本領を発揮するためには、インターネット接続が不可欠です。その理由は、「Augean Robotics」のクラウドプラットフォームと常時通信しながら稼働する必要があるからです。つまり本事例における課題は、「Burro」がどこにいても途切れず通信できる環境をどう確保するか、という点でした。

トポロジー

ソリューション ― 自律型モビリティ・プラットフォーム

そんな「Burro」にとって最適なネットワーク通信環境を実現しているのが、当社の産業用LTEルーター「RUT241」です。「RUT241」を、「Burro」のPCとイーサネットケーブルで接続し、クラウドプラットフォームと「Burro」本体の内部・周辺機器との間に、最大150 MbpsのCat 4通信を実現します。これで農場内のどこで作業していても、安定した接続を維持します。

通信対象となるのは、12台のカメラ、RTK GPSセンサー、剪定用のロボットアームやUVライト機器など、Burroに搭載された多彩な装備で、用途に応じて自由にカスタマイズできる設計です。さらに、「RUT241」はネットワークの信頼性と堅牢性に加え、「Burro」の遠隔運用を充実させるするさまざまな機能を備えています。例えば、WANフェイルオーバー（回線障害時の自動切替）や、複数の農場にまたがる機器を一元管理できるリモート管理システム「RMS（リモート・マネジメント・システム）」への対応など、大規模展開にも適した設計となっているのが特徴です。IEEE 802.3 / 802.3u準拠、MDI/MDIX自動クロスオーバーといった多様なI/Oインターフェースにも対応しており、将来的なアップグレードや拡張にも柔軟に対応できます。

まさに、「RUT241」は「Burro」の“心臓部”として、通信という“血流”を送り続けています。この確かなコネクティビティがあるからこそ、「Burro」は毎日休むことなく、農場の最前線で活躍できるのです。