top of page

製品

事例集

サポート

リソース

会社

More News

8/28/2025

【IPパススルー】テルトニカ製デバイスのための直接接続

8/27/2025

ネットワーク制御を加速させるマネージドスイッチ ―「SWM28」シリーズが新登場

8/19/2025

IoTソリューションを効率的に管理する ― 新しいRMSパッケージのご紹介

【IPパススルー】テルトニカ製デバイスのための直接接続

2025年8月28日

ネットワークでは、特定の機器を「直接インターネットに接続する」というニーズが出てくることがあります。通常はNAT(ネットワークアドレス変換)を使って、1つのパブリックIPアドレスを複数の機器で共有します。ただしこの仕組みにおいては、外部から見えるのがあくまで「ルーターの表札(パブリックIP)」だけで、その奥にある個々の機器は隠れてしまいます。たとえば、外部から「この監視カメラに直接つなぎたい」と思っても、NAT越しではどの機器に届ければいいのか分からないため、直接アクセスできないのです。


こうした課題を解決するのが IPパススルー です。特定の機器にパブリックIPアドレスをそのまま割り当てることで、NATを経由せずにインターネットと直接通信できるようになります。その機器に名札を直接貼り付けるようなイメージです。


この記事では、IPパススルーの基本概念、利用できるモードの種類、ポート指定とMAC指定の違い、そしてテルトニカ製デバイスの導入におけるこの機能のメリットを、わかりやすく解説します。



IPパススルーとは?


IPパススルーとは、インターネットサービスプロバイダー(ISP)からルーターに割り当てられたパブリックIPアドレスを、ローカルネットワーク内の特定の機器に直接割り当てることができる機能です。


通常はルーターがNAT(ネットワークアドレス変換)を行い、NAT内部の機器は「裏側」に隠れた状態でインターネットに接続されます。しかしIPパススルーを使うと、このNATをバイパスして、指定した特定の機器に直接インターネット接続をすることができるのです。


つまり、その指定した機器は「ルーターの奥にある1台」ではなく、「インターネットに直結した機器」として扱うことができます。これにより外部からも直接アドレス指定が可能になり、フィルターのないダイレクトな通信が実現するのです。




テルトニカで直接接続が有用な理由


テルトニカのネットワーク機器は、堅牢性と柔軟な機能性を持ち、産業用から小売用途にまで幅広く活用されています。こうしたさまざまな環境において、直接接続は、時に欠かせない要素となります。



産業・遠隔環境のニーズに応える


例えば、産業オートメーション(IIoT)の現場を考えてみましょう。工場や電力網、上下水処理施設においては、PLC・高度なセンサー・ロボットシステム等が、中央制御ユニットやクラウドプラットフォームとリアルタイムで安定して通信することが求められます。ここで低遅延のデータ伝送と安定した運用を支える基盤となるのが、直接接続です。


同様に、スマートシティや社会インフラの分野でも、交通管制、スマート街灯、環境モニタリング、公衆Wi-Fiといったシステムは、中断なき通信を必要とします。


このように様々な場所に分散して設置したデバイスは、監視や設定更新、データ収集を確実に行うために、個別にアドレス指定できることが重要です。IPを直接割り当てることでリモート管理が大幅に簡素化され、公共サービスを24時間安定稼働させることができます。


遠隔監視やセキュリティの分野でも同様です。防犯カメラ、リモートアクセスポイント、大規模な建設現場や農業施設に展開された特殊機器などは、制御センターからの即時アクセスを必要とします。


さらに、車両管理や輸送分野では、テルトニカ製のルーターを搭載した車両が追跡、テレメトリ、車内通信に活用されます。リアルタイムGPSの更新やリモート診断を行うには、安定した直接接続が欠かせません。特に車両が複数のモバイルネットワークを行き来する状況では、直接IPを割り当てることで、より強靭で効率的なデータ通信を実現できます。


小売やPOS(販売時点情報管理)システムにおいては、外部公開を前提としない場合は多いものの、特定のPOS端末や専用デバイスが外部の決済ゲートウェイやクラウド型の在庫管理システムと直接通信する必要があります。


こうした重要な取引機器を、複雑なネットワーク設定なしで接続することで、円滑で止まらない業務運営を支えることができます。


ネットワークの複雑さを解消する実用的なメリット


こうした高度な環境において、IPパススルーによる直接接続は、確かな効果をもたらします。

 

ダブルNATを解消、スムーズな通信を実現


IPパススルーの最大のメリットは、IPパススルーが「ダブルNAT」問題を解消できることです。これは、ISPから提供されたモデム/ルーターと別のルーター(例えばテルトニカ製ルーター)を組み合わせたときによく発生する課題です。


NATが二重にかかると、リアルタイム通信やVPNなどの重要なアプリケーションで遅延や接続不良が起きやすくなります。IPパススルーを使ってテルトニカ製ルーターが直接パブリックIPを取得すれば、この問題を根本的に解消し、ネットワーク全体の通信をよりスムーズかつ安定したものにできます。




サーバーホスティングとサービスの強化


IPパススルーの利点は、ダブルNATの解消だけにとどまりません。ローカルネットワークからサーバーや各種サービスを直接ホストする際の手間を大幅に軽減します。


Webサーバー、FTP、VPNエンドポイント、CCTV監視システムなどの専用サーバーに依存する企業や特殊アプリケーションでは、テルトニカ製ルーターに直接接続されたサーバーが、IPパススルーによって即座に、そして制限なくインターネットへアクセスできるようになります。


これにより、従来必要だった外部接続やポート転送の煩雑な設定を省くことができ、外部ユーザー・アプリケーションからのサービスへのアクセスも格段にスムーズになります。



リモート管理とIoT展開の効率化


直接IP接続は、産業IoT(IIoT)やM2Mソリューションの中核を担うリモート管理機能を強化します。これらのシステムでは、遠隔地に設置した機器に対して、安定したリモートアクセスを維持できることが何より重要です。


IPパススルーを利用することで、テルトニカ製ルーターに接続したデバイスをインターネット上に直接公開でき、リモート監視・診断・制御がよりシンプル・強固にすることができます。


このダイレクトな経路により、障害ポイントを最小限に抑え、大規模なIoTネットワークの構成を簡素化。エッジデバイスから中央プラットフォームまで、重要なデータが途切れることなくスムーズに流れる仕組みを実現します。


IPパススルーモードと設定の概要


IPパススルーをどのように実装するかを理解することは、その機能を最大限に活用するための第一歩です。テルトニカのネットワークデバイスは、他の高性能ルーターと同様に、多様な利用環境に対応できるまざまなIPパススルーモードを備えています。


ブリッジモード:ダイレクトリンク


最も基本的な形態であるブリッジモード(文脈によっては「パススルーモード」とも呼ばれます)は、テルトニカ製デバイスを中継機として機能させ、パブリックIPアドレスを1台の接続デバイス(通常は別のルーターまたはエンドデバイス)へ転送します。


このモードは、テルトニカ製デバイスを経由してパブリックIPを下流のルーターへ引き渡し、そのルーター側でネットワーク変換やルーティングを行いたい場合に最適です。


使用時の注意点として、特にモバイルWANを利用する場合は、ルーターのアクセス方法に影響が出る点を理解しておく必要があります。接続したクライアントがパブリックIPを正常に取得すると、テルトニカ製ルーターのWANインターフェースにはIPアドレスが割り当てられず、WAN側から直接アクセスできなくなります。そのため、このモードではLAN側からルーターを管理する必要があります。


テルトニカ製品のモバイルブリッジモードにおけるトラブルシューティング・よくある問題については、公式テルトニカWikiの「Mobile Bridge mode troubleshooting(英語)」で詳しく解説されています。

 


NATモード:標準的なゲートウェイ


本記事の焦点はNATをバイパスする構成にありますが、その基礎となる標準動作モード = NATモードの仕組みを理解しておくことも欠かせません。


このモードでは、テルトニカ製ルーターがローカルネットワークのメインゲートウェイとして機能し、ISPから提供された1つのパブリックIPアドレスを、接続されている複数のデバイスにプライベートIPとして割り当てます。


この一般的・標準的な構成では、ルーターのWebUIやRMS(リモート・マネジメント・システム)にLAN側から容易にアクセスできるほか、ファイアウォール設定を適切に行えばWAN側からもアクセスが可能です。これにより、シンプルかつ包括的な管理が実現します。



ワン・トゥ・ワンNAT:専用のIPマッピング


完全なIPパススルーとは異なりますが、ワン・トゥ・ワンNATも特定のデバイスに直接性を与える仕組みです。このモードでは、ローカルネットワーク上の1つのプライベートIPアドレスを、ISPから割り当てられた1つのパブリックIPアドレスに固定的かつ排他的にマッピングします。


これにより、そのデバイス専用のパブリックIPマッピングが作成され、標準的なNATのように他の機器とパブリックIPを共有することなく、インターネットから直接アクセスできるようになります。



根本的な仕組みとしてはNAT(ネットワークアドレス変換)を利用していますが、この方式では専用の処理が行われ、より直接的な通信リンクを実現します。利用できるパススルーモードの種類や、各モードの正確な設定条件については、ご利用のテルトニカ製デバイスの詳細についてご確認ください。

 

さらに、それぞれのモードの違いやテルトニカ製品との関連性の詳細については、Teltonika Community Forum をご参照ください(現在は英語のみでのご利用が可能です)。ここでは、NATモード、ブリッジモード、パススルーモードそれぞれの動作の違いや特性について、具体的な説明等をご覧いただけます。



精密な制御:MACアドレスによるIPパススルー


IPパススルーを設定するには、主に次の2つの方法があります。


・MACアドレスを指定しない方法

ルーターに最初に接続したデバイスに、自動的にパブリックIPアドレスが割り当てられるシンプルな方式です。接続機器が1台だけの場合に適しています。

 

・IPパススルー用MACアドレスを指定する方法

より一般的で信頼性の高い設定方法です(推奨)。パブリックIPを割り当てたいデバイスのMACアドレス(機器ごとに固有のハードウェア識別番号)を正確に入力します。

 

この方法では、どの物理ポートに接続しても、指定したデバイスだけが直接インターネット接続を確保できるため、より高い制御性と安定性を実現します。テルトニカのネットワーク機器でも、このMACアドレス指定による設定がよく採用されており、ネットワーク全体をきめ細かく、正確に管理しています。


さらにこちらの方法では、機器を別のポートに差し替えた場合でも、同じパブリックIPアドレスを維持できる点も大きなメリットです。


テルトニカ製デバイスでのIPパススルー設定:簡単ガイド


具体的な設定手順は、使用するテルトニカ製ルーターのモデルやファームウェアのバージョンによって多少異なる場合がありますが、基本的な流れは次のとおりです。


  • Web UIにアクセスする

    お使いのWebブラウザーから、テルトニカデバイスの管理画面(Web UI)にログインしてください。画面から、設定操作を行います。


  • ネットワーク設定を開く

    IPパススルーは外部接続(WAN)の管理に関する設定です。メニューから「WAN」または「Internet Setting」の項目を開いてください。


  • パススルーを有効化する

    設定項目の中から「IP Passthrough」または「Bridge Mode」を選択してください。機種によっては、特定のデバイスを対象にする場合に「DMZ」設定を使用することもあります。表記はルーターのファームウェアによって異なる場合があります。


  • 対象デバイスを指定する

    パブリックIPを割り当てたいデバイスのMACアドレスを正確に入力してください。入力ミスを防ぐため、事前にMACアドレス(例:セカンダリルーター、サーバー、産業用コントローラーなど)を確認してください。


  • 設定を保存して反映する

    設定内容を保存し、必要に応じてデバイスを再起動してください。再起動後、新しいネットワーク設定が有効になります。


より詳細な手順については、公式テルトニカWiki に掲載されているこのようなマニュアルをご参照ください。



重要なセキュリティ上の注意点


IPパススルーの有用性は疑いようがありませんが、パブリックIPアドレスを受け取るデバイスは、広大で変化の激しいインターネットに直接さらされることを忘れてはなりません。


そのため、このデバイスには堅牢なファイアウォールを備え、最新のセキュリティパッチを適用し、あらゆるサイバー脅威に備えた必要なセキュリティ対策を確実に講じることが不可欠です。



テルトニカのIPパススルーでネットワークを最適化


IPパススルーは、重要な機器をインターネットへ直接接続できる強力な機能です。従来のNAT構成に伴う複雑さを取り除き、よりシンプルで高効率なネットワーク環境を実現します。テルトニカ製デバイスを利用するユーザーにとって、IPパススルーモードとMACアドレス指定による設定を正しく理解・活用することは、大きなメリットにつながります。


この機能を活用することで、ネットワーク性能の最大化、サーバー運用の簡素化、リモート管理の強化、そして複雑なIoT展開のスムーズな実装が可能になります。IPパススルーを適切に設定すれば、重要なアプリケーションに対して安定した高品質な接続を確保できます。多様な環境に対応し、安全で信頼性の高いネットワーク構築を支えるテルトニカにとって、IPパススルーは現代の産業・小売業界に欠かせない重要な機能です。

 

LIKE THIS STORY?

ぜひシェアしていただければ嬉しいです!

GOT A QUESTION?

お気軽にお問い合わせください!

bottom of page